映画「ハーモニー」と意思決定

伊藤計劃氏原作の「ハーモニー」を鑑賞しました。

本作においては「意思決定」が重要なテーマになっています。ミァハという女性が物語の重要人物として登場しますが、彼女が目指しているのは、人間から意識を喪失させようとします。それによって合理的な世界を目指そうとします。

組織論の大家であるハーバート・サイモンが明らかにしているように、人間は認知能力に限界を抱えているがゆえに、合理的であろうとしても、完全に合理的であることはできません。これを限界合理性といいます。

なので人間は合理的ではない意思決定を頻繁に行います。そうではなくて、完全に合理的な意思決定をしましょう、ということをミァハはやろうとするのですね。その代わりに意識がなくなります。すなわち感情や痛み、苦しみがなくなるのです。それによって幸せな世界を作ろうと。

果たしてそんな世界は実現できるのか?そもそもそんな世界は幸せなのか?

そんな命題に興味のある方に是非おすすめできる映画です。