映画「花束みたいな恋をした」の感想

色々と話題になった邦画「花束みたいな恋をした」を鑑賞しました。サブカル好きな大学生の男女が付き合って、同棲して、社会に出て、徐々にすれ違って最終的には別れるという話です。

00年代の恋愛映画といえば、恋人のうちどちらかが不治の病に侵されて死ぬというのが多かった気がしますが、10年代以降はそういう映画はあまりヒットしなくなりましたね。より感情移入しやすいリアルな恋愛を求めているということでしょうか。直近だと「愛がなんだ」「ピース・オブ・ケイク」「勝手にふるえてろ」あたりもそんな感じでした。

さて、「花束みたいな恋をした」ですが、いろいろと考察の余地があり、面白い映画でした。(例えば絹は浮気してたのかどうか問題等)考察そのものについては既にいろんなサイトやSNSで書かれているので、省いて、感想をつらつらと書いていきます。

まず舞台は東京の西側エリアになっていました。2人が出会ったのは明大前ですし、同棲をしていたのは調布ということになっています。私は都内では北区と台東区にしか住んだことがないので、実は東京の西側エリアの、特に京王線や中央線の放つサブカル的な雰囲気に憧れがありました。この映画を観てその憧れがより刺激された形になりました。いつか住んでみたいものです。

それから男女の違い、というのが本作の重要なテーマかと思いますが、それを俯瞰的に見られたのは良かったですね。パン屋さんの下りなんかは特に。

また2人のすれ違いが始まるきっかけは間違いなく麦くんの就職ですよね。物流の会社に営業として就職し、疲弊していく様はとても自分事のように感じられました。映画や文学、漫画が好きだったのに、パズドラしかしなくなり、「ゴールデンカムイ」ではなく前田祐二の「人生の勝算」を読むようになるのは、リアルでした。サブカル大学生が、どんどん俗っぽいサラリーマンになっていくんですよね。

ただ、この辺りの描写について、共感できるアラサーは多いんじゃないでしょうか。私もその1人でした。

労働や仕事はたしかに辛い面があります。特に入社したての時期は。でもサブカルで食っていけるかというとそうじゃない。私的には健全な労働の在り方については今後模索していきたいテーマかもしれません。