イトーキ サリダYL8を購入

ワーキングチェアを新調しました。

こちらです。

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イトーキ サリダYL8

7年くらい、某大手家具店で買った6,000円くらいのワーキングチェアを使って勉強、仕事(基本在宅なので)をしてきましたが、さすがにボロがきて身体への負担が心配になったので、買い換えました。

 

私は社会人院生×在宅ワーカーなので、座る時間も長く、疲労軽減のためにそれなりの値段がするものを購入しようと思いました。

ワーキングチェアは高いものだと10万円を超えるものもあります(エルゴヒューマン等)。その価格帯も検討したのですが、さすがに手が出ず、イトーキのサリダシリーズで手を打ちました。YL8だと税込み37,900円なので、高機能な割には比較的手ごろな部類といって差し支えないでしょう。

ゲーミングチェアも検討したのですが、①ロゴが派手なものが多く、オンラインMTGで映るのが嫌②レザー素材が多いので夏場は蒸れる(らしい)の2点から見送りました。

イトーキ サリダYL8の良いところは下記です。

・ランバーサポート、ヘッドレスト、アームレストがついており、いずれも高さ調整可能

・ロッキング機能(寄りかかると背もたれが倒れる)がついており、リラックスできる

・座面の奥行が調整可能

・背はメッシュ素材なので通気性が良い

・組み立て簡単(男1人で30分程度で完了※プラスドライバー必須)

これだけの機能を有して4万円以内で収まるというのはかなり良心的だと思います。

逆に気になるところとしては、

・アームレストがガタつく(私のネジの締め方が悪いのかもしれませんが)

・サイズが大きいので部屋が狭く感じる

といったところでしょうか。またオットマン(足置き)機能は付いていないので、その点を重視している方にはおすすめできません。

私としては非常に満足しており、在宅勤務になったタイミングで、もっと早く買い替えれば良かったと感じています。なおサリダシリーズは他にも商品があります。高機能な商品群だと他にYL7とYL9があります。その中でYL8にした理由としては、

・YL9だとランバーサポートがない

・YL7だと座面の奥行が調整できない

という消去法での決定となりました。私は腰痛持ちなので、ランバーサポートは今回の買い替えにあたっては外せませんでした。。この辺りはデザインもあるので、好みで選ばれても良いかと思います。私はデザインはあまり重視しませんでした。

色々書きましたがこのサリダシリーズ、私のような「椅子を買い替えて生産性を上げたいけど、高級ワーキングチェアには手が出せず、ゲーミングチェアも嫌だ」という方には強くおすすめできます。

 

M1後期が終わりました

諸々の課題や研究計画書を提出し、M1後期が終わりました。

記憶が新しいうちに振り返ります。

後期を通じて成長したと思えるポイントは3つ。

論文を読む精度が高まった

私が通っている東京都立大学大学院 経営学研究科では後期から専攻毎に分かれて、教授の指定する文献を各自読んでレジュメを切って議論をする必修講義があります。この講義のおかげで論文を読む精度が高まりました。

私は「ミクロ組織論」を選択しましたが、講義では文献の限界点を指摘することが求められました。例えばリサーチデザインの穴や考察で見落としている点等です。これまでは受動的に読むだけだったのが、能動的に読むことができるようになりました。

英語論文を読むこともあったので、語学力も鍛えられたと思います。

レポートを書くスピードが速くなった

前期、後期と簡単なものも含めると50本以上はレポートを書いてきました。そのおかげかレポートを書くスピードが格段に速くなってきました。当初はなかなかアイデアが浮かばず、うんうん唸ってたことが多かったのですが、成長しました。経営学の知識が増え、分析のHOWが蓄積されてきたことが大きいと思います。

ちなみに都立大では非常勤講師の先生によるロジカルライティングの講義があります。2022年度も開講されるかはわかりませんが、開講されるのであればM2での受講を検討しています。スピードだけでなく、クオリティももっと上げていきたいです。

経済学の知見を得られた

後期は「企業経済学」と「ゲーム理論」という経済学系の講義を履修しました。企業経済学ではミクロ経済学の基本を学びました。ゲーム理論では基本から始まって、完全ベイズ均衡のような応用まで学びました。

入山先生が名著『世界の経営学者はいま何を考えているのか』(2012)で紹介されている通り、経営学には①社会学ディシプリン認知心理学ディシプリン③経済学ディシプリンの3つのディシプリンがあります。私はその中でも経済学の知見が皆無に等しかったため、考え方を身につけることができて良かったです。

経済学には「現実的ではない」というネガティブな印象を持っていたのですが、「あえて大胆な仮定を置くことでモデルを作り、示唆を提示する」というのが経済学の考え方であると知り、視野が広がりました。

以上です。

今日から春休みということになりますが、仕事関連のビジネス書を読んだり、研究計画書をブラッシュアップしたりして、有意義に過ごしていきます。

 

 

2021年振り返り

2021年は大学院に進学したという点で大きな変化があった年でした。また4年近く住んだ北浦和を離れ、上野に引越しました。下町情緒あふれる上野での暮らしはとても楽しく、刺激が多いです。

年齢的にも30歳を迎えることになって、1つ階段を昇ったのかな、という気がしています。同年代の友人知人も転職、独立、出世、事業売却、海外転勤、結婚、出産等、それぞれのステージを迎える歳になってきました。20代前半から明確にキャリアの解像度を高く描いて、努力をしてきた層は実ってきていることを実感します。

さて、自分自身についてざっくばらんに振り返っていきたいと思います。

 

大学院

経営組織、HRM、意思決定、組織行動等、組織に纏わる講義を中心に履修しつつ、その手法としての統計学を学びました。関連領域としての経営戦略や、視野を広げるためにゲーム理論や企業経済学といった科目も履修しました。前期のグループ研究ではサーベイリサーチを経験し、「研究をするとはどういうことか」という一端を知ることができたのではないかと思います。

当然知識は増えるわけですが、知識そのものよりその学問領域の考え方、フレームワークを知ることができたのが、今後の糧になるのではないかと思います。例えば古典的なゲーム理論で前提としているような、自分と相手の相互依存的な関係でどう戦略を選択するのか、ということ。また企業経済学を履修したことで、これまで自分が経済学に対して持っていたような偏見を捨て去ることができました。

あと統計学については以前と比べると飛躍的に理解が進んだと思います。少なくとも統計手法を用いた論文を読めるようにはなりました。ただ自分で統計解析をしていくということを考えると、まだまだだと思うので、来年も引き続きキャッチアップをしていく必要がありそうです。

英語

大学院に関連する項目ではありますが、独立させました。私の研究計画的に、来年は英語の論文をたくさん読んでいく必要がありそうです。ただ今年は英語学習にあまり時間を割けずじまいでした。文法書や単語帳を読む時間も確保することが難しそうな感じがしますが、来年は英語論文をとにかく辞書(適宜翻訳ソフト)を使いながら、読んで、量をこなすことが英語の読解力を上げていきたいと思います。

英語の論文については、ある種のお作法や頻出単語みたいなものがあって、それらを抑えつつ、翻訳ソフトのような文明の利器を適切に使えばなんとかなるのでは?と思い始めています。

哲学

今年は新たな挑戦として、哲学のインプットをはじめました。哲学といっても幅広いのですが、いわゆる近代哲学といわれるようなイギリス経験論・大陸合理論~現代哲学に至る領域です。また「科学哲学」の本も読みました。時間があればブログにもまとめたいのですが、下記は特に勉強になりました。

そこから派生して、下記5冊も読みました。

 

浅学ゆえに未消化な部分が多いので、この5冊は再度読み直したいと思います。経営学という社会科学の一領域を学びながら、「社会科学とは何か」ということを自分なりに見つめた一年と言ってもいいかもしれません。(答えは全然出てないですが)

科学哲学を含めたインプットの成果として経営学の研究法についての理解が進んだのは大きかったです。例えば下記のような本を読みました。

仕事

いくつかの成果を出すことはできました。一方で波があったのは反省すべき点であり、私の未熟のなすところだと思います。

また自分のキャリアについて内省をする時間が取れました。これにより自分が今後5年、10年、20年どうしていきたいかを朧気ながら描くことができました。こういったキャリアプランは変わっていくものだと思いますが、何のビジョンもなかった数年間を思うと大きな進歩です。描いたゴールに向けて自分らしく一歩ずつ努力を重ねていきます。

趣味

大学院もコロナもありましたので、趣味に全力投球というわけにはいきませんでした。例えば旅行やスポーツ観戦には一度も行っていません。ゴルフはラウンド1回行っただけ、練習もほとんどできませんでした。

ただそういった制約の中でも楽しめることはできました。

バー巡りでいくと、銀座の「Tender」「スタア・バー」「ルパン」。湯島の「EST!」「琥珀」、八王子「洋酒考」等の由緒あるオーセンティックなバーに足を運びました。

instagramにupしていますので、よろしければフォローしてみてください。

@mtstshk

いくつかの素晴らしい映画にも出会えました。

「シン・エヴァンゲリオン」を筆頭に、アニメ映画が個人的には豊作でした。「閃光のハサウェイ」は確実に期待を上回りましたし、ストリーミングサービスで鑑賞した伊藤計劃氏の「ハーモニー」「虐殺器官」は最高でした。また押井守氏の「攻殻機動隊」「イノセンス」を再度鑑賞する時間を持て、改めて素晴らしい作品だと実感しました。邦画だと「燃えよ剣」「花束みたいな恋をした」「佐々木インマイマイン」は良かったです。

 

そんなこんなでいい一年でした。

2022年の目標は気が向けば書くかもしれません。

 

M1後期が始まります

久しぶりの更新となってしまいました。

長いようで短い夏季休暇が終わり、後期が始まります。

都立大MBAではM1の1月下旬に研究計画書の提出があるため、徐々に修士論文に向けての準備が始まります。「経営学特別演習」という講義が必修として課されているのですが、この講義を通じて研究課題を明確にしていきます。

2021年度はミクロ組織論、マクロ組織論、経営戦略、マーケティング、マネジメント・サイエンスの5分野で開講されており、学生はこれらのうち1つを履修します。

私はミクロ組織論を受講しています。

それ以外に受講する講義としては下記です。

①組織行動:自分が専攻していきたい分野。仕事にも関りが深いので、気合を入れて取り組みます。

マーケティング・サイエンス:個人的にマーケティングへの興味はそこまで高くないのですが、Rを使った実習があるため、統計的スキルを身につけることを目的として履修します。

③企業経済学:ミクロ経済学の中でも特に経営学に近い領域を学んでいきます。

ゲーム理論MBAではなく、MEcという経済学のコースの提供科目になるのですが、ゲーム理論を学ぶことで組織研究に活かしていきたいと考え、履修します。未知の分野なので予習復習をしっかりしないと落ちこぼれそうです。

⑤テクノロジー・マネジメント:イノベーションや製造業への理解を深めたいと考え、履修します。

前期よりは履修科目は少ないですが、修論の準備も考慮するとカツカツになってきそうです。後期も頑張ります。

映画「ハーモニー」と意思決定

伊藤計劃氏原作の「ハーモニー」を鑑賞しました。

本作においては「意思決定」が重要なテーマになっています。ミァハという女性が物語の重要人物として登場しますが、彼女が目指しているのは、人間から意識を喪失させようとします。それによって合理的な世界を目指そうとします。

組織論の大家であるハーバート・サイモンが明らかにしているように、人間は認知能力に限界を抱えているがゆえに、合理的であろうとしても、完全に合理的であることはできません。これを限界合理性といいます。

なので人間は合理的ではない意思決定を頻繁に行います。そうではなくて、完全に合理的な意思決定をしましょう、ということをミァハはやろうとするのですね。その代わりに意識がなくなります。すなわち感情や痛み、苦しみがなくなるのです。それによって幸せな世界を作ろうと。

果たしてそんな世界は実現できるのか?そもそもそんな世界は幸せなのか?

そんな命題に興味のある方に是非おすすめできる映画です。

夏季休暇中に読んだ本

ありがたいことに今年の夏休みは9連休でした。

とはいってもコロナ禍でもありますし、どこかへ遊びに行って経済を回すでもなく、stay homeであえてMBAとは違う世界の本も積極的に読んでみました。どんな本を読んだのか、紹介していきます。

■「実力も運のうち 能力主義は正義か?」(著)マイケル・サンデル

 熱血教室で有名なサンデル教授の新刊です。本書の中でサンデル教授は能力主義に疑問を投げかけます。勉強をしていい大学を出て、官公庁や大企業に就職するのが、成功のキャリアパスになって久しいわけです。そしてどんなに貧しい境遇であっても、能力さえあれば、のし上がって豊かになれる、というのが能力主義です。

しかし実際には生まれや環境に能力は大きく左右されます。私自身があまり裕福とはいえない地域の公立中学出身ということもあり、これは非常によくわかります。家庭環境が芳しくなければ勉強に時間を割くこともなく、能力主義という前提ではあるものの、結果的に階級の再生産になってしまっているんですよね。

にも関わらず、能力主義という美名のもとに貧困は怠惰が原因と片付けられて、社会不満がたまっていくわけです。サンデル教授はこういった不満がトランプ現象を引き起こしたと喝破します。

いわゆる「エリート」な人たちにこそ読んでほしい一冊です。

 

■「Talent Wins 人材ファーストの企業戦略」(著)ラム・チャラン, ドミニク・バートン, デニス・ケアリー

 打って変わってMBA的な世界の本です。

ヒューマン・リソース・マネジメントの講義で先生に薦められたので読んでみました。本書では人事機能の重要性を財務と同じレベルまで高めることを提唱しています。金融資本と同じような厳格さで人的資本をマネジメントせよ、ということですね。

昨今ビジネス現場でも流行りの「CHRO」については、CEOとCFOと同列にまで引き上げ、「G3」として経営にコミットせよ、とされております。他にも主要な主張としては、トップ人材である「クリティカル2%」の確保や配置、そのためのデジタルツール、いわゆる「HRテクノロジー」の活用にまで言及されています。人事に携わっていたり、人的資源管理論に興味があれば読んでもいいと思います。

 

■「人新世の資本論」(著)斎藤幸平

 最近よくメディアでも見かける論客の著作です。「人新生」というのは何やら聞きなれないワードですが、

人類の経済活動が地球に与えた影響があまりに大きいため、ノーベル化学賞受賞者のパウル・クルッツェンは、地質学的に見て、地球は新たな年代に突入したと言い、それを「人新生」と名付けた。人間たちの活動の痕跡が、地球の表面を覆いつくした年代という意味である。 

 だそうです。タイトルに「資本論」とある通り、著者の斎藤氏はマルキストです。気候変動問題を引き合いに出しつつ、最先端のマルクス研究をわかりやすく解説し、資本主義から離れ、脱成長コミュニズムに移行しようと主張します。そして脱成長コミュニズムの柱として、

①使用価値経済への転換

②労働時間の短縮

③画一的な分業の廃止

④生産過程の民主化

⑤エッセンシャル・ワークの重視

を挙げています。経営学にとって、資本主義とは所与のシステムです。資本主義を否定するつもりは全くないのですが、資本主義の弊害が顕在化している今、経営学はどのように貢献できるのか?そんなことを考えてみても面白いかもしれません。

 

 ■「隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働」(著)ルドガー・ブレグマン

 タイトルにある通りベーシックインカム(BI)についての本ですね。BIの導入は相当ハードルが高いと思いますが、仮に実現したとすれば社会はどうなるんだろうか?そして自分はどうするだろうか?そんな思考実験をするのはとても楽しいです。

著者はBIの導入と労働時間の短縮を主張しています。いくつか引用します。

・フリーマネー(自由になるお金)は機能する。すでに研究によって、フリーマネーの支給が犯罪、小児死亡率、栄養失調、10代の妊娠、無断欠席の減少につながり、学校の成績の向上、経済成長、男女平等の改善をもたらすことがわかっている。

世論調査では、日本からアメリカまで、労働者は貴重な購買力をいくらか手放してでも余暇を得たいと考えていることが分かっている。様々な社会問題を解決する労働時間の短縮。政策としてお金を時間に換え、教育に投資し、退職制度を柔軟にして、徐々に労働時間を減らしていくことが必要だ。

・第二次機械化時代になり、AIとロボットが「中流」と呼ばれる人々の仕事を奪う。

・テクノロジーの恩恵を手放したくないのであれば、残る選択肢はただ一つ、再分配だ。金銭、時間、課税、そしてロボットも再分配する。ベーシックインカムと労働時間の短縮はその具体的な方法なのだ。

 

■「日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学」(著)小熊英二

 人気社会学者である小熊英二氏の著作です。膨大な文献調査によって国際比較もしながら近代~現代の日本の雇用慣行がどのように成立したかを解き明かします。

直接的には経営学には関係ありませんが、日本の雇用慣行は人的資源管理論の分野と非常に密接に関わってきます。そういった意味で、人的資源管理論を学ぶ上では非常に有益な本かと思います。

本書で小熊氏は日本社会を「大企業型」「地元型」「残余型」の3つに分類しています。

「大企業型」とは大学を出て大企業や官庁に雇われ、「正社員・終身雇用」の人生をすごす人たちと、その家族である。「地元型」とは、地元から離れない生き方である。地元の中学や高校に行ったあと、職業に就く。その職業は、農業、自営業、地方公務員、建設業、地場産業など、その地方にあるものになる。

 

しかし現代の日本社会の問題は、「大企業型」と「地元型」の格差だけではない。より大きな問題は、長期雇用はされていないが、地域に足場があるわけでもない人々、いわば「残余型」が増えてきたことだ。都市部の非正規労働者は、いわばその象徴である。所得は低く、地域につながりもなく、高齢になっても持ち家がなく、年金は少ない。いわば、「大企業型」と「地元型」のマイナス面を集めたような累計である。 

 この類型は人材サービス業界で働く私としても非常に肚落ち感がありました。

映画「花束みたいな恋をした」の感想

色々と話題になった邦画「花束みたいな恋をした」を鑑賞しました。サブカル好きな大学生の男女が付き合って、同棲して、社会に出て、徐々にすれ違って最終的には別れるという話です。

00年代の恋愛映画といえば、恋人のうちどちらかが不治の病に侵されて死ぬというのが多かった気がしますが、10年代以降はそういう映画はあまりヒットしなくなりましたね。より感情移入しやすいリアルな恋愛を求めているということでしょうか。直近だと「愛がなんだ」「ピース・オブ・ケイク」「勝手にふるえてろ」あたりもそんな感じでした。

さて、「花束みたいな恋をした」ですが、いろいろと考察の余地があり、面白い映画でした。(例えば絹は浮気してたのかどうか問題等)考察そのものについては既にいろんなサイトやSNSで書かれているので、省いて、感想をつらつらと書いていきます。

まず舞台は東京の西側エリアになっていました。2人が出会ったのは明大前ですし、同棲をしていたのは調布ということになっています。私は都内では北区と台東区にしか住んだことがないので、実は東京の西側エリアの、特に京王線や中央線の放つサブカル的な雰囲気に憧れがありました。この映画を観てその憧れがより刺激された形になりました。いつか住んでみたいものです。

それから男女の違い、というのが本作の重要なテーマかと思いますが、それを俯瞰的に見られたのは良かったですね。パン屋さんの下りなんかは特に。

また2人のすれ違いが始まるきっかけは間違いなく麦くんの就職ですよね。物流の会社に営業として就職し、疲弊していく様はとても自分事のように感じられました。映画や文学、漫画が好きだったのに、パズドラしかしなくなり、「ゴールデンカムイ」ではなく前田祐二の「人生の勝算」を読むようになるのは、リアルでした。サブカル大学生が、どんどん俗っぽいサラリーマンになっていくんですよね。

ただ、この辺りの描写について、共感できるアラサーは多いんじゃないでしょうか。私もその1人でした。

労働や仕事はたしかに辛い面があります。特に入社したての時期は。でもサブカルで食っていけるかというとそうじゃない。私的には健全な労働の在り方については今後模索していきたいテーマかもしれません。