「創造の方法学」が素晴らしかった

いくつか研究法や思考法に関する本を読んでいるのですが、その中でも「創造の方法学」がめちゃくちゃ素晴らしかったので紹介したいです。

創造の方法学 (講談社現代新書)

創造の方法学 (講談社現代新書)

 

著者の故・高根先生は60年代の政治運動も身を投じた後、英語を学んでスタンフォード修士号、カリフォルニア大学で社会学の博士号を取得された方です。

アメリカで著者が学んだ「社会科学の方法論」を余すところなく書いたのがこちらの書籍になります。いろいろと研究法や思考法の本を読んだのですが、エッセンスはこの本に書かれているな、と。

学べることとしては、

・因果関係の捉え方

・記述と説明の違い

・問題設定の方法

・概念とは何か

・変数とは何か

等です。

普遍的な社会「科学」のお作法を学べた、というのが率直な感想です。なぜマックス・ウェーバーやデュルケムが偉大な社会学者なのかという点もよくわかりました。文体自体は読みやすいですし、価格もお手頃なので心からおすすめできます。社会科学系の学部に所属しており、これから卒論を書こうか、というような学生さんなんかも是非読めばいいと思います。

私もこの本にもっと早く出会っていれば、大学院の研究計画書作成や口頭試問ももう少しスムーズだったのかな〜なんて後悔します笑。筑波や神戸、東京都立あたりのアカデミック要素強めの国内MBAを目指される方は読んでみてはいかがでしょうか。

また個人的に刺さったのは3章のこの文章です。

私は運動に突っ込み、底辺のドロ臭い現場を駆けずり回ったことで、大学の研究室では、絶対に学べなかった何物かを学ぶことができたと今でも信じている。その何事かとは、きれい事ではない社会の現実のなかに動いている、人間関係の原理といったものである。その何事かを学んだために、経験的世界とのかかわりを失ったドグマや、美辞麗句に迷わされない物の見方を、少しは身につけることができたのではないかと思う。

私みたいにドブ板営業を経験して、大学院で経営学を学ぼうとする人間にはとてもとても刺さりました。これこそ社会科学を学ぶ人間に求められるスタンスだよなあと。

あと3ヶ月で大学院がスタートします。不安もありますが、自分にしかできない研究をできるよう頑張っていきたいと思います。