【読書メモ】「経営戦略の論理(第4版)」(著)伊丹敬之

伊丹先生の「経営戦略の論理(第4版)」を読みました。第4版は電子書籍が出ていますね。

 この本を読もうと思ったのは金井壽宏先生が日経文庫「経営組織」(1999年)で日本語で書かれていた経営戦略のベストの文献として紹介をされていたからです。

経営組織―経営学入門シリーズ (日経文庫)

経営組織―経営学入門シリーズ (日経文庫)

  • 作者:金井 壽宏
  • 発売日: 1999/01/01
  • メディア: 文庫
 

 ちなみに経営戦略の論理は初版はなんと1980年!それが2012年に改訂されて第4版として出版されているわけです。

さて、伊丹先生といえば日本を代表する一流の経営学者ですが、本書はアカデミックな研究成果ではなく、あくまで実務家向けに経営戦略の「なに」と「なぜ」を語ろうとしたものです。経営者はもちろんですが、金融機関や事業会社の経営企画部、コンサルティング会社なんかで働いている方が読むとタメになるのではないかと思います。

私は組織関係の本や論文を読むことが多いので、どうしても視点が組織に偏りがちになって、戦略や経営全体のことがどうも抜け落ちている気がしてなりません。本書では戦略の内部適合として現場の心理まで言及されています。これはまさに組織行動のモチベーションに関する問題でしょう。組織行動の勉強はどんどん深めていかねば、と思う一方、経営戦略との接続として考えるスタンスを忘れてはいけないと思いました。そのスタンスこそ、理論と実践の橋渡しにつながってくるのだと思います。経営戦略と組織行動をうまく結びつけて考えることができれば、面白い研究ができそうです。